本屋の住宅コーナーに並んでいる住宅関連の雑誌やムック誌などには、いろいろな話題や特集が組まれていて見ていても飽きません。
わたし自身、このような雑誌掲載のための取材を受けたり、編集場面には何度も立ち会いました。
いろいろと良いことが書かれていますが、これらの雑誌を発行する出版社は広告主から掲載料をいただいて刊行しているので、良いこと中心に書くのは当然のことです。
当たり前のことですが、最も大切な広告主が悪く思われるような内容は書けるはずがありません。
そういう記事や広告の中でもよく見られるのが、
『坪単価29.8万円より建築出来ます』
とか
『この広さで1,400万円よりご用意します』
などと、あたかも表示された価格で建築出来るかのような表現をしていますが、
【○○○より】【○○○から】
と言った表示は勘違いの元。
いったいいくらで家が建つのでしょう?
では付帯費用はどのくらいなのか。
仮に建物の価格が定額で1,800万円だったとしても、これに付帯する
- 建築確認設計費
- 地盤補強費
- 屋外給排水工事費
- 屋外電気設備工事費
- 外構工事費
- ガス工事費
- 諸経費
その他諸々、建物価格以外にかかる費用が250万円~800万円以上と、キリがないほど幅があるわけです。
これらの他に、オプション工事費などが加われば、これ以上になります。
誤解させることが狙いの価格表示
購入を強く検討している人であればあるほど、表示された金額で建物価格を計算して予算計画をしてしまいます。
他のメーカーより一円でも安く表示したい気持ちはわかりますが、主体はお客様。
正確に工事費がいくらかかるかは敷地調査をしっかりと行って見積もらなければ絶対に出るわけ無いのです。
上記のように一例をあげて、『建物価格だけでは済まないのだ』と言うことをきちんと書面に記載するべきです。
家を建てようと思っているお客様にとって、価格はメーカーを決める最も重要な要素。
それを逆手にとって、
「当社はどこよりも安い家が建てられます!」
といって、はじめから誤解をさせることが狙いの価格表示をする住宅メーカーはいかがなものかと思います。
契約調印してから誤解に気がついても時すでに遅し。
雑誌や広告に価格を掲載していたからと言っても、メーカーはきちんと逃げ道を用意していますから、契約前までに曖昧な価格提示をするようならいったん保留する勇気は絶対に必要です。
寿司屋に行って品書きの価格欄に『時価』って書いてあるとなんだかドキドキしますよね。
でも『時価』って書いてあれば、店のマスターに『大トロはおいくら?』って聞いて、財布と相談するわけです。
でも、 もしその価格欄に『800円より』って書いてあったら、800円なんだ〜って勘違いしちゃうかもしれません。
で、 会計の時1,600円請求されたら、
「はぁ?聞いてないよ〜」
って感じで、頭にきます。
「○○より」と言う表示に気づかなかったほうも悪いのですが、勘違いさせるように仕組んだ価格表のように思えます。
わたしのような貧民はこういう寿司屋には怖くて二度と行けませんね。
っていうか、廻らない寿司屋は、スポンサーがいる時しか行けませんが…。