建築業界は消費者センターなどへの苦情報告や照会、問い合わせの多い、人呼んで『クレーム産業』。
ここで言う『アフターサービス』とはクレームのことをさしてはいませんが、住宅メーカーによってはクレームもアフターサービスも同じように取り扱っているところもあります。
たとえば雨漏りの場合
住宅は雨風を凌ぐためのお城ですから、建物内に雨水が浸入してくれば、これはクレームですね。
即住宅メーカーに電話してこの症状を改善してもらわなくてはなりません。
電話をしてしばらくすると住宅メーカーから依頼された工務店が修理にやってきました。
その工務店の人は住宅メーカーから受け取った依頼書のようなものを持っています。
そこにはこんなことが書いてありました。
『アフターサービス依頼書』
ん?雨漏りがアフターサービス?
とんだ勘違いです。
雨漏りなど起きては絶対にならないものなのに、アフターサービスとして処理しようとしています。
こんな住宅メーカーもあると言うことです。
そう言う論外な住宅メーカーのことは置いておいて、自分たちが選ぼうとしている住宅メーカーがアフターサービスやクレームに対して敏感かどうかを、契約する前に判断することは難しいですね。
知人などがその住宅メーカーで過去に家を建てたことがあるような場合は、話を聞くだけでだいたい分かるのですが、そういった人が周りに誰もいない場合などはまったく分かりません。
そこで担当している営業マンに直接聞くわけです。
聞く内容は以下のようなものが良いと思います。
- アフターサービス部門に配属されているスタッフは何名いるか?
- アフターサービスの依頼があった場合は具体的にどのように対処しているのか?
- 過去にアフターサービスがあった事例を書面で見せてほしい。
以上の三点を聞いてみましょう。
(1)の回答は人数だけでなく、自社で行っているか他社に請け負わせているかも重要ですし、自社でアフターサービス部門を立ち上げて活動してはいるが、その実情はリフォーム獲得のための営業部隊だったりすることもあるわけですから、人数が多いからと言って安易に大丈夫だと思わないほうが良いのです。
(2)の回答は担当している営業マンの即答ぶりでわかります。お茶を濁したりせずに即説明ができるようなら安心ですが、中には平気で嘘を付く人もいますから注意が必要です。
(3)の回答が非常に重要です。アフターサービスを行った内容がきちんと書面に残っているかどうかは、その住宅メーカーがアフターサービスを重要だと考えているかどうかの「ものさし」になるのです。
そしてそれをお客様にお見せできるかどうかも非常に重要です。
アフターサービスは重要なセールストーク
実際わたしが現役営業マンの時は、自分で作成したアプローチ用の資料の中に、必ず直近に起きたアフターサービス・クレームの内容を記録したものをコピーして、いつでもお客様に見せられるようにしていました。
ただ、アフターサービス・クレームの内容やその処置方法を記載した書類を見せていただけでしたので、お客さんからしてみれば『結構クレームが多い会社なんだな…』と、今考えてみると逆に悪い印象を与えてしまったかもしれません。
理想的なスタイルは、アフターサービス・クレーム内容とその処置方法だけでなく、
- なぜ起こったのか?=(原因)
- 二度と起こさないか?=(原因の除去)
- 二度と起こさないための対策=(是正処置)
この三点をあわせて書面で残すことができればパーフェクトです。
特に「二度と起こさないための対策=是正処置」は、企業にとって極めて重要です。
これができているかどうかで、その企業の将来は決まる、と言っても過言ではありません。
ただ書面で残すことばかりに夢中だったり、すべての案件で同じように処置されていなければ、まったく意味がありません。
そのあたりをお客様が判断するのは難しいかも知れませんが、対応した営業マンの素振りなどである程度は判断できると思います。
あとを絶たない食品の産地・賞味期限の偽装やスキャンダルの多くは、これら三つの重要事項について何ら発表されること無く(単にマスコミが報道しないだけなのかもしれませんが)事件は時と共に消えていってしまっています。
しかし、直接の被害者からすれば、事件は消えないのではないでしょうか?
ましてそれが住宅となれば、住み続けなければならず、ローンも抱えている。
クレームになるようなことなど絶対に起きてほしくないものだと思います。
しかし不幸にもそのようなことが起きてしまったときに、いかに重要な事柄だと認識して適切に対処できるかどうかは、住宅メーカーによって大きく異なるのです。
アフターサービスは住宅メーカーにとって避けては通れないものです。
安易にアフターサービスが万全であるかのようなコメントをしても、本当にアフターサービスが起きたときにあたふたしているようでは何の意味もないのです。